虐待をした養護者以外の親族の面会制限
2012年10月01日 09:10
【Q】
高齢者虐待防止法第13条は、虐待をした養護者の面会を制限していますが、養護者以外の親族に対しても面会を制限することはできますか。
【A】
老人ホーム等の施設を管理している施設長は、施設を管理する権限を有しており、その権限に基づいて誰に対しても施設自体あるいはその一部への立入りを拒否することができます。施設長の指示に反して施設に立ち入ったときは、建造物侵入罪に該当する可能性があります。
高齢者虐待防止法は、高齢者を保護するため、養護者と高齢者とを分離し、特別養護老人ホームなどに措置した場合、市町村長または施設長は、虐待をした養護者と高齢者との面会を制限することができることを規定しています(第13条)。
この規定は、虐待をした養護者を対象としており、それ以外の者については面会制限の対象にしていません。しかし、虐待をした養護者に頼まれた者が高齢者本人と面会をすることで、高齢者が精神的に苦痛を伴う可能性も考えられます。
そこで、施設長は、高齢者本人を保護するため、施設管理権に基づいて、施設内に入ることや高齢者の部屋への入室を拒否することができます。結果、そのような人々との面会を制限することができます。
ただし、面会制限の要否の判断は、市町村と施設長が十分協議をしたうえで、一定の基準に従ってなされるべきです。
*養護者とは…
高齢者虐待防止法では、養護者の定義を「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のものをいう」と定めています(第2条第2項)。
出典:社団法人日本社会福祉士会編『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』中央法規出版、2011年