会話のテーマ
2012年09月27日 09:10
【Q】
利用者との会話では、どんなテーマが適していますか。
【A】
利用者との会話にふさわしいテーマとは、つまり「利用者のことを理解できるテーマ」と言えるかもしれません。相手のことをよく知り、身近で親しみやすい話を聞くことができるテーマには、たとえば、「好きなものごと」「ふるさと、旅行、近所の名所」「健康、食べ物」「笑い、失敗談」などがあります。これらのテーマは、いずれも話し手にとっては比較的話しやすく、聞き手にとっては知識が広がるという共通点があります。このうち「笑い話、失敗談」では、特にお互いに打ち解けることができるという効果もあります。
ただし、どのテーマを選ぶにしても配慮が必要です。たとえば、好きなものごとについては、好き、嫌いをはっきりさせない習慣の人の中には、「そんなこと、改めて聞かれても困る」という人もいるでしょう。また、ふるさとによい思い出がない人や経済的な理由から旅行に行ったことがない人もいるかもしれません。大病をして、後遺症により、今でも辛い思いをしてるために「健康」のテーマを苦痛に感じる人もいるかもしれません。さらに、自分のことについては、一切話したくないと思っている人など、さまざま事情の人がいるためです。
利用者との会話では、これらのことをふまえ、どのようなテーマのときにどのような反応があったかをさりげなく観察し、把握しておくとよいでしょう。一方で、どのようなテーマだと、会話が面白くなりそうかを予想しながら話を聞くと、さらに面白い話を聞くことができることもあります。
出典:大武美保子著著、『介護に役立つ共想法―認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション』、【第1章】中央法規出版、2012