グループでの会話
【Q】
利用者が数人でグループになり、昔の思い出話をする時間を設けているのですが、話し始めたら止まらない人や、一言も発言できず、いつも不完全燃焼のようになってしまう人、人の話を聞いていても、つい口を挟んで、いつの間にか自分の話を始めてしまう人などがいて、どうもうまくいきません…。
【A】
話し始めたら止まらない人、言いたいことがあっても結局、発言できない人、人の話を聞いているとすぐに発言したくなってしまう人など…。自分が当てはまることもあれば、周囲にいる人が思い浮かぶこともあるでしょう。このような人たちが集まって会話を始めると、誰かが一方的に話し続け、他の人がついていけなくなったり、声が大きい人だけが会話に参加することになったり、という状況が生まれ、何となく気まずい雰囲気になってきてしまいます。
そこで、話すことと聞くことの両方をバランスよく行う会話をめざして、(1)1人当たりの持ち時間を決め、(2)話し手と聞き手になる順序を決め、(3)話の時間と質問の時間にわける、という3つの工夫をすることをおすすめします。
1人当たりの持ち時間を決めることで、特定の人が話し続けるという状況は解決します。他の人が話をさえぎるのではなく、「ルール」によって話し手を交代することになるので、グループの雰囲気を壊すこともありません。次に、話し手と聞き手になる順序を決めることで、自分から話すことや人の話に割って入ることが苦手な人が「何も話さずに終わってしまう」という状況を解決することができます。順番が決まっていれば、事前に心の準備もできるという利点もあります。さらに、話の時間と質問の時間を分けることで、聞き手は、話の腰を折らずに最後まで集中して聞くことができます。
以上の3つ工夫は、「共想法」というコミュニケーション方法のルールでもあります。慣れるまでは、多少、ぎこちない感じになりますが、慣れてくると自然に全員が楽しく参加できるようになります。ぜひ、試してみてください。
出典:大武美保子著著、『介護に役立つ共想法―認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション』、【第1章】中央法規出版、2012