日常会話に適した「位置関係」
2012年09月25日 09:10
【Q】
利用者といざ会話をしようとして向き合うと、視線をどこに向けていいのかわからず、落ち着かないのですが…。
【A】
ある人と日常会話をするといったとき、どのような「位置関係」を思い浮かべますか。テーブルを挟んでいすに座り、正面で相手の顔をみる位置(180度の位置)、横に並んで一緒に歩きながら会話をする位置(60度くらいの位置)、または、車いすを押しながら後ろから会話をする位置(0度くらいの位置)などがあるでしょうか。
「会話をする」というと、相手と正面から向き合う180度の位置を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は、60度や0度の位置で、「一緒に同じものを見ながら、見ているものについて語り合う」ほうが、お互いの「見方」や「見え方」の違いに気づき、相手を理解しやすくなります。したがって、目の前の利用者が、どのようなことに興味があるのか、どのようなことを楽しいと感じるのかを知るには、「一緒に同じものを見ながら、それについて語り合う」位置関係をおすすめします。この位置関係であれば、視線を向ける位置に困ることはないでしょう。
一緒に見るものは、窓から見える花や景色でもいいですし、写真集や画集などでもよいと思います。
なお、相手が話をしているときは、「質問」を考えながら聞くと集中できます。また、「聞くこと」と「話すこと」のバランスがとれた会話ができるように気を配ると、より一層、楽しく、心地よい会話になると思います。
出典:大武美保子著著、『介護に役立つ共想法―認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション』、【第1章】中央法規出版、2012