上司から「利用者の話をよく聞かない」と言われます……
2012年09月12日 09:10
【Q】
上司から、「利用者の話をよく聞かない」「話を勝手に解釈しがち」と言われました。自分ではうまく仕事をやっているつもりだったので、まったくもって納得できません!
【A】
もしかしたら、これらの言葉の裏には、あなたが利用者の視点で利用者の価値観に沿って話を聞いているのではなく、自分の考えや価値観とすり替えてしまっていることを指摘されているのかもしれません。
利用者を受容し、共感し、個別化することが援助関係構築の基本ですが、仕事への慣れや利用者へのステレオタイプ的理解が、それを阻んでいる場合もあります。また、異なった立場や価値観を理解することへの不安や躊躇、感受性や柔軟性の不足、推察や判断力などが要因として考えられるかもしれません。
専門職の場合、自分自身への振り返りは自主的に行うことが前提ですが、職場の人からのスーパービジョン、職員相互のピアカウンセリングなどは、日常業務でも行う機会があると思います。また、外部講師による研修やスーパービジョンなども、日頃の人間関係から離れ、フレッシュな気分で振り返るためのよい機会です。
対人援助の仕事は、常に自分へのメンテナンスが必要となります。「これで完璧」とは思わずに、常に研鑽を続けてください。そのことが利用者に、ひいては自分自身に、必ず返ってくるはずです。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』、中央法規出版、2008年