先輩から「もっと現場に出て学べ」と言われます……
2012年09月11日 09:10
【Q】
「もっと現場に出て利用者から学べ!」と言われますが、用もないのに利用者の所に行って、一体何をすればよいのでしょうか?
【A】
専門職の仕事は、利用者がいて初めて成り立つものです。利用者ニーズの把握がすべての始まりであり、その上にサービスや制度がついてくるのです。事務仕事は、サービスや制度の適用上必要なものであり、また量も決して少なくないですが、それが仕事のすべてというわけでは決してありません。
経験の浅い援助者の場合、まずは仕事の手順や組織の役割などを理解することが大切です。しかし、それと同じくらいに、利用者を理解し、利用者の望みや願いを把握して、信頼関係を構築していくことも大切なことです。
職場が施設なら、多くの利用者と話して馴染んでもらう、職場が相談機関なら、新任の挨拶がてら家庭訪問に行ったり、内外の関係者との集まりに参加して面識を深める、職場が地域なら、民生委員や自治会の会合に出て多くの住民と出会い、顔を覚えてもらう、などのことは非常に大切です。
支援の対象者と接し、信頼関係を構築した上で必要な情報を集めないと、専門職の仕事は始まりません。何か起こったときに利用者と接すればいいやと思っていても、既に面識や信頼関係がある人とない人では、対応の仕方もスピードも違います。どちらが利用者のためになるかと言えば、言うまでもないことでしょう。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』、中央法規出版、2008年