薬の副作用と脱水
【Q】
私は71歳の女です。数年前よりお小水が近くなり、ときどき我慢できずに漏れるようになりまして、近所の先生に相談いたしました。先生からはお小水が我慢しやすくなるお薬を出していただき、おかげさまでずいぶんよくなりました。でも困ったことに、口が乾いて仕方がありません。また、以前から便秘気味ではありましたが、最近お通じが非常に出にくくなりました。ひどいと、10日も出ないことがあります。それに、最近何となくだるくて、ときどき頭も痛くなるのですが、全部お薬の副作用でしょうか。
本当は先生にご相談したほうが良いのでしょうが、先生に相談するとせっかくよくなっているのにお薬をやめるということになるのではないかと心配で、話しておりません。
【A】
膀胱が過敏な状態で漏れる切迫性には、抗コリン剤といった膀胱の勝手な収縮を抑える薬の効果が期待できます。しかし、この薬は交感神経に働きかけるので、副作用として唾液の分泌が抑えられ、口が乾いたり、便秘になったりすることがあります。だんだん慣れてくる人も多いのですが、慣れなかったり、あるいは症状をどうしても我慢できなかったりする場合は、対策を考える必要があります。
口の渇きに関しては、飴をなめたり酸味の強いグミなどを噛んだりする、口に水を含むといったことで軽減することもあります。あるいは、口の中を潤すスプレーをときどき噴射して渇きを潤すといった方法をとります。
便秘に関しては、食事、水分摂取の見直し、食後の排便習慣の確立、適度な運動など、一般的に言われている便秘改善の方法に加え、どうしても排便が困難な場合は、座薬や浣腸など穏やかに働きかける下剤の使用を考えます。
これらの方法をできるだけ行っても副作用が改善できず、生活に支障をきたす場合は、服用する薬の量を減らして様子をみるか、服薬を中止せざるを得ません。
しかし、全てを薬の副作用と判断してしまう前に、そのほかの理由がないかどうか基本的なことを確認する必要があります。口の渇きや便秘、頭痛、また倦怠感などは、脱水症状からも起こることがあるからです。
現状を一つひとつ確認しながら対応を考えます。
出典:西村かおる著、『こちら、お漏らし110番―排泄とそのケアにズバリお答えします』、中央法規出版、2000年