何でも副作用と訴える患者
2012年09月06日 09:10
【Q】
患者さんが、何でも「○○は薬の副作用じゃないのか」と聞いてきて、どのように対処してよいものか困ることがあります。
【A】
看護者が主に観察すべき副作用・中毒症状は以下のとおりです。
(1)意識障害(傾眠、錯乱、興奮、せん妄、失見当識、昏睡、意識レベルの低下)
(2)けいれん(脳波異常)
(3)錐体外路症状(パーキンソニズム、アカシジア、ジスキネジア、ジストニアなど)
(4)脱力、末梢性神経筋症
(5)網膜、水晶体、瞳孔の障害
(6)皮膚症状、末梢循環障害、浮腫、静脈炎
(7)造血系の障害、アレルギー性反応
(8)心機能障害(頻脈、不整脈、洞房ブロック、房室ブロック)、血圧調節機能(眩暈、ふらつきなど)
(9)肝機能障害
(10)胃腸症状(便秘、麻痺性イレウス)
(11)発汗、口渇、多飲、多尿、尿閉、乏尿、急性腎不全、電解質障害
(12)内分泌障害、体重増加
使用する薬剤によって違いはありますが、副作用としては、口渇、便秘、眩暈、ふらつき、食欲不振、倦怠感、眠気、睡眠障害、パーキンソニズム、アカシジア、体重増加の出現頻度が比較的高いようです。これらの症状は患者さん自身が自覚する部分も多いので、看護者にとって見つけやすい副作用です。看護者は何かしらの異変を感じたら、患者さんの与薬内容、投与後どれくらい経過しているか、相乗関係のある嗜好品の有無を確認し、年齢を考慮したうえでそれが副作用なのか否かを判断する必要があるでしょう。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編、『看護者のための精神科薬物療法Q&A』、中央法規出版、2011年