錐体外路と錐体外路症状
2012年09月05日 09:10
【Q】
錐体外路と錐体外路症状についてわかりやすく教えてください。
【A】
筋の運動に関係する中枢神経から末梢に向かう伝導路には二つの系統があります。錐体路と錐体外路です。錐体路は随意運動をつかさどる主要な伝導路ですが、この伝導路のはたらきのみではスムーズな運動は困難です。歩くことを考えても、下肢のみでなく、上肢、体幹の多数の筋が調和してリズミカルに伸展、収縮を繰り返さないとスムーズな歩行にはなりません。運動のこのような調和、修正という側面をコントロールしているのが錐体外路系の伝達路で、調和のとれたスムーズな運動を行うために重要です。
錐体外路系の伝導路は、不随意的に、各筋群の緊張、弛緩、収縮、伸展などを微妙に調整することで目的の運動が円滑に実行できるようにはたらきます。大脳基底核や視床、小脳、あるいは視覚、聴覚などの感覚器からの情報を取り入れて、このような調整が行われています。
錐体外路系の伝導経路は、大脳皮質の運動領野と大脳基底核を結んでいます。この大脳基底核は、脳幹(中脳、小脳、延髄)にいくつかある神経細胞の集合体ですから、大脳皮質と同様灰白質です。尾状核、被殻(あわせて線条体)、淡蒼球、赤核、黒質などからなります。
錐体外路症状は、錐体外路系に関係している大脳基底核とその経路の障害によって生じる症状です。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編、『看護者のための精神科薬物療法Q&A』、中央法規出版、2011年