精神科ではなぜ服薬を確認するのか
2012年09月04日 09:10
【Q】
精神科では、服薬したことをなぜ確認するのでしょうか。
【A】
看護者には、患者さんの地域を拠点とした生活と自立を支援する立場から、入院医療の提供における患者さんの「服薬」には、次の三つの責任があると考えられます。一つ目は患者さんの自立と自己決定を支える、病気と薬剤に関する情報の提供に基づく擁護の必要性です。二つ目は、患者さんを中心として医師や薬剤師などと協働して与薬を遂行する責任があります。正しく与薬すること、そして状態の変化に応じて必要に応じ医師にフィードバックし情報提供することです。しかし、指示があるからといって強制的に与薬してよいということではありません。精神科医療ではこの関係が往々にして「患者さんのため」という名のもとに逆転しがちです。一つ目の患者さんの擁護が前提であり、強制的な治療はあくまで緊急避難であるべきです。三つ目は日常生活の支援者としての観察の責任です。与薬前後の観察を通し、作用・副作用の観察を行います。患者さんの自己決定のもとで「服薬」できるかの観察も含まれます。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編、『看護者のための精神科薬物療法Q&A』、中央法規出版、2011年