自分で寝返りができる人は、○○もできる?
2012年08月22日 09:10
【Q】
自分で寝返りが打てる利用者がいます。それ以外の動作は、ほとんど全介助の状況なのですが、他にどんな動作ができる可能性がありますか。
【A】
利用者のできることを把握したうえで、「他にできることはないだろうか?」と考える視点はとても大切です。
自分で「寝返り」ができる場合は、首や腕の筋肉があるため、支えがあればベッドや車いすに座ることができる可能性があります。また、座位が安定していれば、上着の袖を通したり、スプーン等をつかって食事ができる可能性があります。
さらに、寝返りができるということは、自分で骨盤や足を回転させることができるということなので、おむつ交換やズボンを着替える際に、自分で臀部を上げることができる可能性もあります。また、車いすに座って、フットサポートに足を乗せたり下ろしたりする動作ができる可能性もあります。このときも、必ず座位が安定していることを確認してから行うようにしてください。
自分で着替えることができない場合は、着替えの動作すべてを介助してしまいがちですが、「上着の袖を通す」ことを自分でやっていただくだけでも、筋力の低下を防ぐことができますし、利用者の意欲につながることもあります。車いすへの移乗も同様です。移乗の動作そのものは、全介助が必要であったとしても、フットサポートからの足の上げ下ろしは自分でできる利用者もいるはずです。
このように、「他にできることはないだろうか?」という視点で利用者を観察することで、利用者の生活の幅が大きく変わる事例がたくさんあります。
出典:石山満夫=編著、『観察力と考察力をみがく“ひょっと視点”で広がる介護技術』、中央法規、2011年