「助けるだけの介護」から「よくする介護」へ
2012年08月14日 09:10
【Q】
介護がより専門性を発揮するにはどのように変わればいいのでしょうか?
【A】
介護は、これまでの「助けるだけの介護(補完的介護)」から「よくする介護」への転換が求められています。
介護によって不自由な生活行為(「活動」)を手伝うだけでなく、生活行為(「活動」)そのものをよくすることもでき、また社会や家庭での役割や楽しみ(「参加」)も向上させ、「生活機能」全体の向上を実現できるのです。すなわち、現時点の状態だけでなく、将来のよりよい生活機能の状態(目標)も考えて、その実現に向けて介護を行います。これが介護の専門的技術ですが、残念ながらこれまでこの力が十分には発揮されなかったといえます。
「よくする介護」という言葉だけですと、ムード的・スローガン的になりがちですが、理論的にいえば、その人ならではのよりよい生活機能の実現に向けた目標とプログラムを設定し、介護を行っていく「目標指向的介護」です。これは、ICFを介護現場でどう生かすかという臨床実践にほかなりません。
その際大事なのは、ICFに立って、介護の対象を生活上の不自由ではなく「人」全体であるとして生活機能モデルに基づいて把握し、そして、その人ならではの個別的目標設定とプログラムを進めていくことです。
なお、「よくする介護」が可能となる根拠としては、“「活動」の「心身機能」に対する相対的独立性”が重要です。これを認識することが大事です。
出典:大川弥生=著、『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用』、10~11頁、中央法規、2009年