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福祉マイスターへの道 毎日更新

介護は「している活動」に働きかける専門職

【Q】
 ICFによって介護職の役割・専門性が明確になったと聞きましたが・・?

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【A】

 ICFでは「活動」(生活行為)を「している活動」(実行状況)と「できる活動」(能力)に区別します。これによって、介護職は“「している活動」に働きかける専門職”であることが明確になりました。
すなわち、「している活動」の専門家として、「している活動」のもつ意義を常に考えながら、「活動」の見方のエキスパートになる必要があります。
以下に、「活動」の見方のポイントを示します。

(1)「している活動」と「できる活動」との区別
「活動」の「している活動」(実行状況)と「できる活動」(能力)の両者を明確に区別することが大事です。そして、その両者の差に注目することが、「活動」への働きかけの多くの手がかりを教えてくれます。
(2)「活動」は「参加」の具体像
一つの「参加」は、複数の生活行為(「活動」)の具体的なやり方からなるものです。
(3)活動の「レパートリー」と「バラエティ」
「活動」は全ての生活行為を含むものであり、「レパートリー」(さまざまな「活動」の種類)と「バラエティ」(同じ「活動」項目の行い方の多種多様性)の両面からとらえ、その両面を増やしていくことが重要です。
これは、セルフケアが自立したらその他のレパートリーに拡大していくとか、あるバラエティが自立したら次のバラエティに進むという画一的なものではありません。利用者一人ひとりにとって大事な「参加」の状況は異なるのであり、その具体像として必要な「活動」のレパートリーやバラエティは一人ひとりで異なるのです。それが個別性を重視するということです。
(4)「自立」のとらえ方:「限定的自立」と「普遍的自立」
ある「活動」の項目がどれだけ本人の判断や力で行っているかを示すものが「自立度」ですが、自立に「普遍的自立」と「限定的自立」という2つのものを区別することが重要です。
「限定的自立」とはある環境では自立していても、他では自立していないような場合です。そうであれば限られた場所にしか行けず、それによって社会的な活動範囲は狭くなります(「参加制約」)。
さまざまな環境(物的環境だけでなく、冠婚葬祭などの社会的な環境も含めて)ででも自立して行えること(「普遍的自立」)を目指す必要があります。
また、これはある限定的環境でのみの介護の必要性・やり方だけでなく、さまざまな環境での介護の必要性・やり方にも考慮する必要があるということです。

出典:大川弥生=著、『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用』、10~11頁、中央法規、2009年


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