利用者のニーズと職員の意向のすり合わせが難しい……
2012年08月07日 09:10
【Q】
生活支援計画を作成するにあたって、利用者のニーズと職員の意向が一致しないときがあり、すり合わせが難しいです。
【A】
チームアプローチにおいて、多角的な視点や様々な専門性から行うアセスメントは有効ですが、方向性がずれると弊害が大きくなる恐れがあります。支援計画の作成者がこれらをどう統合し、援助の方向性を出していけばよいのか、具体的に考えてみましょう。
最初に、利用者の状況や願いを理解し、問題の中核を的確につかむ必要があります。困り事が多いケースの場合、どうしても利用者の「今」に引っ張られがちになりますが、利用者の過去の生き様や将来の生活の予測、そして利用者自身の願いなど、「現在」「過去」「未来」という時間軸から立体的に捉え、状態像をチームで共有しなければなりません。
次に、チームとして目指す具体的なゴールを、共有した状態像に基づいて設定します。ゴールを明確に共有し、そのゴールに向かった専門性に基づいた役割を担うことで、それぞれの専門性を活かした援助が可能となります。
さらには、利用者や家族とのすり合わせも大切です。なぜなら、利用者の要求と問題の中核が必ずしも一致しているとは限りませんし、利用者自身が問題の中核を気づいているとも限らないからです。利用者側と援助者側の双方が、ニーズの共通認識を持ったうえで、一緒にゴールを設定していく必要があります。
出典:神山裕美、木戸宜子=編著『対人援助・生活相談サポートブック』、中央法規出版、2008