嗜好品と向精神薬の関係
2012年07月30日 09:10
【Q】
アルコール、コーヒー、タバコなどの嗜好品と向精神病薬の関係について教えてください。
【A】
精神科病院に入院している患者さんは、コーヒーやコーラなどのカフェインを含む飲み物を好んで飲む印象を強く受けます。カフェインは、中枢神経を興奮させ眠気を迎えます。また、ドパミンの働きを強める作用があり、抗精神病薬の副作用の一つであるパーキソニズムを軽減する可能性があるといわれています。また、肝臓のミクロゾーム酵素による抗精神病薬の代謝を促進し、薬の血中濃度を低下させるとされています。カフェインは精神症状を悪化させるとの報告もあるようですが、この血中濃度低下と関係があるのかもしれません。
コーラには糖分が多く含まれており、缶コーヒーも砂糖入りの商品が多いため、多量に飲用すると摂取カロリーが多くなります。入院中は運動不足になりがちですから、過剰な糖分摂取は、肥満から生活習慣病を引き起こす要因ともなります。
薬物の量、副作用あるいは精神症状と嗜好品摂取の状況を観察してみるのも回復過程を知るうえで意味があると思います。患者さんと嗜好品について話す時に、薬物療法との関係も話題の一つにするとよいかもしれません。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』、中央法規出版、2011