ヘビースモーカー
2012年07月31日 09:10
【Q】
精神科の患者さんには、ヘビースモーカーが多い印象を受けますが、なぜでしょうか。
【A】
疾患別にみると、欧米諸国での調査では、統合失調症患者は、他の精神疾患と比べて明らかに喫煙率が高いと報告されています。アメリカでは統合失調症患者の喫煙率は、一般人口の約3倍というデータもあります。わが国においても、少なくとも入院している精神科患者さんの喫煙率は高く、とりわけ統合失調症の患者さんの喫煙率は高いと考えてよいと思います。日米ともに、入院患者の約80%は喫煙者との調査結果もあります。一般人口の喫煙率は低下を続けており、20歳以上の喫煙率は、2010年の調査では男性36.6%、女性12.1%でした。
統合失調症の患者さんの喫煙は、症状や抗精神病薬の副作用への対処行動としての意味があるという見解があります。対処行動と自覚して喫煙している患者さんはいないにしても、喫煙率の高さを説明する一つの仮説とはいえるでしょう。
喫煙と抗精神病薬の副作用などとの関係を示唆する報告がありますが、追試などで確認されない場合も多く、一致した見解が得られている報告はまだ少ないのが現状のようです。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』、中央法規出版、2011