高齢者が介護等を拒否した場合(セルフネグレクト)には、どのように対応したらいいですか?
2012年07月24日 09:10
【Q】
高齢者本人が必要な医療や介護保険サービスを拒否したり、自ら不衛生な住環境で生活している場合(セルフネグレクト)、どのように対応すればよいでしょうか。
【A】
高齢者が自らの意思で、または認知症やうつ状態などのために生活に関する能力や意欲が低下し、自らの意思で他者に対して援助を求めず放置しているなど、客観的にみて本人の人権が侵害されている事例があり、これをセルフネグレクト(自己放任)といいます。
セルフネグレクトは、高齢者虐待防止法に定める虐待の5類型のいずれにも該当しませんが、高齢者の権利利益が客観的に侵害されていることには変わりがないといえます。
客観的に見て支援が必要なセルフネグレクトの状態とは、例えば、(1)判断能力が低下している場合、(2)本人の健康状態に影響が出ている場合、(3)近隣との深刻なトラブルになっている場合などがあげられますが、支援が必要かどうかを総合的に判断し、虐待に準じた対応をすることが求められます。
いずれにしても、基本的に自己決定権が尊重されるべきですが、高齢者本人との信頼関係を構築する過程で、本人に働きかけていくことが必要となる場合もあります。
厚生労働省マニュアルでも、「市町村は、高齢者虐待防止法に規定する高齢者虐待かどうか判別しがたい事例であっても、高齢者の権利が侵害されていたり、生命や健康、生活が損なわれているような事態が予測されるなど支援が必要な場合には、高齢者虐待防止法の取り扱いに準じて、必要な援助を行っていく必要があります」と記載されています。
出典:社団法人日本社会福祉士会編『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』、中央法規出版、2011