個人回想法の実際
2012年07月20日 09:10
【Q】
個人回想法の基本的な展開方法を教えてください。
【A】
準備
テーマを確認のうえ、資料や写真、道具などを準備します。
セッション
まず、始まりの挨拶をします。相手によっては毎回、自己紹介を行い、前回の内容に簡単にふれることで、相手の不信感を和らげることができます。そのうえでテーマについて切り出します。
テーマを紹介したあとに、道具を提示します。テーマを切り出した段階で自ら話し始める人もいます。その場合は、遮ることなく相手の語りに合わせます。
対象者が語っているときは、その話に耳を傾け、気持ちの揺れ動きにも注目しながら丁寧に聴いていきます。話が一区切りしたら、感想を聴いてみます。今、この場で過去を振り返り、思い出を語ったときの気持ちについて丁寧に聴くことが大切です。
回想法では、過去に思いをはせたあと、再び現在に意識を連れ戻すように働きかける必要があります。そのため、回想の話題、感想を聴いたあとは、今起きていることやこれから予定されている身近なことについてやりとりをします。
セッションの最後には、次回の予告をします。次回のテーマを相談したり、日時を約束したりするなかで、今日のセッションの名残を惜しみつつ、再開への期待を共有します。
終了後
記録をつけ、展開ややりとりの内容について振り返り、セッションについて評価します。ケアへの活かし方や他のスタッフへの伝達等についても検討し、次回への準備につなげます。
出典:野村豊子編集代表、語りと回想研究会/回想法・ライフレヴュー研究会編集『Q&Aでわかる回想法ハンドブック 「よい聴き手」であり続けるために』、中央法規出版、2011