薬物調整の難しい患者
2012年06月26日 09:10
【Q】
薬物調整が難しく、微量の薬の変化で状態が悪化したり、副作用が出現したりする患者さんにはどう対応したらよいのでしょうか。
【A】
薬物療法を開始するにあたり、まずは服薬することでの作用・副作用を患者さんにインフォームドコンセントする必要があります。治療の目標は低めに、そして現実的に設定し、過剰な期待を抱かないような説明が必要です。副作用について患者さんと共有していくことも必要となります。副作用の多くは、試適用量の使用により治まることも多くあります。
「微量の薬の変化で状態が悪化したり」といった患者さんのことを考えると、その変化が果たして、薬による変化なのかを再度評価することが必要でしょう。
向精神薬は、一連の副作用のどの原因ともなる可能性があり否定はできません。しかし一方で、臨床試験ではプラセボ群にも比率の違いこそあれ同様のさまざまな症状が出現することを看護者は知っておく必要があるでしょう。患者さんが副作用として感じている症状や、状態の変化ととらえているものが何であるのか、あるいはそのようにしか訴えざるを得ない患者さんのもつ困難さが何なのかをアセスメントし、整理することが大切です。このような対応のなかでほとんどが解決されるはずです。
このような対応を行っているにもかかわらず副作用がでるようであれば、医師と相談して薬を変更する必要があるでしょう。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011。