「本人のため」の介護をした結果、怪我をしたら虐待にあたるのでしょうか?
2012年06月21日 09:10
【Q】
養護者や家族が「本人のため」と言ってリハビリや介護をして、その結果本人にけがを負わせたり、精神的苦痛を与えている場合は、虐待に該当するのでしょうか。
【A】
養護者や家族が、「本人の健康のため」と言って、専門的知識に基づかないリハビリを行った結果、高齢者に外傷や精神的苦痛を与えたり、「本人は何もできないから」と決めつけて全介助をし、高齢者が精神的苦痛を感じている場合には、虐待と認定することができます(けがを負わせれば身体的虐待、精神的苦痛を与えれば心理的虐待に該当します)。
養護者や家族に、高齢者の心身の状態や医療、介護に関する知識がなかったり偏っている場合、虐待を解消するために、養護者や家族に対して必要な知識をもってもらうような支援を行うことが求められます。
また、「養護者は一生懸命介護しているから」という理由で虐待ではないととらえてしまうなど、虐待対応従事者側の判断で高齢者の権利を侵害することのないよう、正確で事実に基づいた判断を行うことが重要です。
*養護者とは…
高齢者虐待防止法では、養護者の定義を「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のものをいう」と定めています(第2条第2項)。
出典:社団法人日本社会福祉士会編『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』中央法規出版、2011年