介護記録の書き方の基本
【Q】
高齢者の介護施設で働いています。記録が苦手で、毎日かなり時間がかかってしまいます。記録の書き方の基本やポイントを教えてください。
【A】
介護の現場には、介護記録、看護記録、事故・ひやりはっと記録など、さまざまな種類の記録があります。また、施設サービス計画書やアセスメント表、モニタリングに関する記録のほか、日々の食事や排せつの状況を記録する表やフロアノートなどもあります。
これらの記録はもちろん「書くこと」が目的なのではなく、書かれた内容を他者に伝え、あるいはデータとして蓄積・分析し、それを活用してよりよいケアにつなげることが目的となります。
したがって記録は、「だれが何のために読むのか」を常に意識して書くこと、つまり書いている自分だけがわかればよいのではなく、読む人が正しく理解し、ケアに活かすことができるように配慮して書くことがポイントです。
例えば、事故の記録は、利用者の安全を確保するため、事故原因を究明し、再発を防止する目的があります。つまり、事故の記録にお詫びや自己弁護を書く必要はありません。さらに、誤解を避けるために、敬語などは極力排除し、時間の経過に沿って書くなど、可能な限り事実が正しく伝わるように書く必要があります。
また、事故の記録は、内部の職員だけでなく、利用者や家族、他機関の職員など多くの人が読むことをふまえて、どのような立場の人が読んでも共通理解が得られる表現を心がける必要があります。
記録の書き方のポイントとしては、次の点を挙げることができます。
(1)事実を明確に書く
(2)敬語・略語を適切に使用する
(3)よりよいケアのために書く
(4)尊厳を大切にする視点で書く
これらのポイントをふまえて書けば、記録に費やす時間は短縮され、苦手意識も少しずつ解消されていくと思います。
出典:NPO法人Uビジョン研究所編『介護記録の書き方・読み方・活かし方 記録をケアの質につなげるために』中央法規出版、2009年