介護記録の記述の形式
【Q】
介護記録には、さまざまな種類がありますが、どのような記録にどのような形式が適しているのでしょうか。
【A】
記録を書くときには、「どのような構成でどのような文体で記述すれば最も内容が伝わるか」を考えて書く必要があります。代表的なものとしては、次のような記述方法があります。
○叙述体
叙述体とは、時間の順序に従って利用者の状況の変化や支援の内容などを記録していく方法です。この記録法では、過去からの時間の流れに沿って、何がどのように変化したのかがわかるとともに、どの時点で何が行われたのか、いつ誰がどのようなことを行ったのかなどが明確になります。したがって、起こった出来事の前後関係が明確になり、その原因の分析や対応の妥当性を検証することなどが可能になります。
○要約体
要約体は、利用者に対する支援の内容などを項目ごとに整理してまとめるもので、全体像や要点を整理するのに適しています。この記述方法は、書き手の思考を通過して表現されるため、書き手の着眼点を明確にできるという特徴があります。必要な項目別に抽出して整理する方法なので、生活歴の記録、アセスメントの要約、各種報告書などによく用いられます。
○説明体
説明体は、事実に加えて、支援の過程で起こるさまざまな出来事に対する書き手の解釈や考察を記録する方法です。記録のなかには、事実と解釈や意見との区別がつきにくいものがありますが、「事実」と「事実に対する解釈・意見」とは区別して書くことが重要です。
実際に記録を書くときには、各記述方法の特徴を理解して、その記録の用途に応じて使い分け、また、適宜、組み合わせて用いることになります。
出典:NPO法人Uビジョン研究所編『介護記録の書き方・読み方・活かし方 記録をケアの質につなげるために』中央法規出版、2009年