時間管理ができないと苦労する
【Q】
スタッフCと一緒に、入浴介助を担当していたスタッフBが、17時の終業時間過ぎに、介護リーダーAのところへやってきて、「リーダー、私はCさんと一緒に入浴介助をすると、Cさんの仕事の段取りが悪くていつも16時を回ってしまって、その後記録、着替えなどをしていると、残業しなければなりません」と話す。Aは「ご意見ありがとう、次はよく考えるわ」と応える。
次の週、スタッフDと一緒に、入浴介助を担当していたスタッフBが、16時過ぎに、介護リーダーAのところへやってきて、「リーダー、Dさんと組むと確かに15時には入浴が終わりますが、Dさんは仕事が粗すぎます。時間は早くても、あれではいつか必ず事故が起きると思います」と話す。
介護リーダーAは、その旨を「Bさんは、クレームが多いのです」と、上司の施設長Eに相談する。すると、「それはBさんに問題がある訳ではなく、おそらく時間管理に問題があると思うよ」との答えが返ってきた。
【A】
介護職員の評価は“質”と“量”によって決まる。質とはケアがていねいか否かの基準であり、量とはケア時間が多いか少ないかの基準である。質については別の機会に述べることにして、ここでは量に焦点を絞ってお話しする。
“時間は有限である。サービス残業は認められていない。”とすると、仕事は決められた時間内に収めるというのが鉄則である。とすれば、介護リーダーの役割は、その勤務帯の業務の洗い出し、そしてその標準業務時間を調べなければならない。つまり、“今行っている業務は何か?”“それは何分かかるのか”である。例えば、<申し送り>4人×5分=20分、<入浴>お客様15人×15分(移動2分、衣の着脱4分、入浴介助7分、整容2分)=225分、<食事介助>お客様15人×10分=150分(3人で行って、全体で50分)といった具合にすると、個別に量の指導がはっきりとできるようになる。例えば「Cさんは、入浴介助が遅いので、洗髪・洗体の技術指導をしていく必要がある」といった具合に…
と同時に、その量をチェックしておかなければならないのが、“間接業務”である。申し送り、記録、会議、移動(お客様並びに職員)等、間接業務に掛かる時間は、短縮できるものは極力短縮するほうが、直接業務がスムーズに回る。
ただしこの時間管理は、ケアの質や、お客様の介護度ならびに医療依存度、個別性・ケアプランによっても変わってくるので注意されたい。
出典:石郡英一著『介護リーダー役割発揮のための基礎50』中央法規出版、2007年