経済的理由でサービスをためらう家族にどう対応すればよいでしょうか?
2012年05月31日 09:10
【Q】
利用者が受給しているわずかな年金で、家族全員が生活しなければならず、利用者へのサービスを導入することができません。
【A】
援助者としては、利用者に対しサービスを提供するだけでなく、利用者の年金に頼らざるを得ない家族全体の生活状況についても、大枠で捉える必要があるでしょう。「利用者本人の年金ですから、本人のサービスのために使いましょう」というだけでは、家族だけでなく、本人の生活も成り立たなくなります。
利用者を支援するということは、利用者とともに暮らす家族の生活のことも考えなくてはなりません。家族は相互に影響し合い、支え合っていく存在だからです。利用者のわずかな年金で家族全員が生活しているという状況は、家族が一体となって生活に取り組んでいる状況と捉えることもできるでしょう。
最終的には、生活保護などの制度を活用した経済的援助の方法も考える必要がありますが、利用者を含めた家族の生活のあり方を理解し、家族全体で、どのように今後の生活を成り立たせていくのかを話し合っていく必要があるでしょう。
このように、家族を支援するということは、家族の抱える問題を改善したり、取り除いたり、あるいはサービス等で補助していくばかりでなく、家族が取り組んでいる状況、家族の取り組む力というストレングスの観点から捉えることも必要です。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年