介護の負担を家族内で分担するようにはできないでしょうか?
2012年05月30日 09:10
【Q】
家族の中で、ある特定の人だけが介護を担っています。負担感も大きいようですし、他の家族も手伝えばと思うのですが……
【A】
まずは、介護に対するその家族なりの取り組み方を理解する必要があります。家族同士の関係性や、これまでの歴史を踏まえたその家族なりの考え方ややり方があるのかもしれません。
家族介護に取り組むのはその家族自身ですから、援助者としてはその家族が取り組める方法を尊重する必要があります。そのためにも、家族が介護にどう取り組んできたのか、家庭生活を支えるための家族の中の役割がどうなっているのかなどについて、話を十分に聞いてみるとよいでしょう。それらの話を聞いていけば、介護を担っているのは一人であっても、家庭生活を支えるために、家族みんなが協力体制を組んでいる姿が見えてくるかもしれません。
ただし、介護負担が極端に偏っている場合は、それによる弊害が家族全体にかかってくることが考えられるので注意しましょう。
また、援助者が「他の家族も手伝えば……」と思う背景には、援助者個人の家族に対する価値観が影響しているのかもしれません。家族のあり方は千差万別であり、援助者個人の価値観だけで捉えるのは非常に危険です。そのことは、援助者からのアドバイスというより、個人の考えの押し付けになってしまうからです。それぞれの家族状況を、きちんと理解していく必要があるでしょう。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年