内服薬減量時の観察
2012年05月24日 09:10
【Q】
向精神薬の減量などが行われた場合の観察のポイントがあれば教えてください。
【A】
抗精神病薬の量が減ったり、服薬しなくなった場合には、抗コリン性の離脱症状が見られることがあります。これは、抗コリン作用が急に弱くなったことで起きる症状です。主に消化器症状の悪心・嘔吐、下痢ですが、不眠、発汗、眩暈、焦燥感、不安感などが生じることもあります。抗コリン作用の強いフェノチアジン系の抗精神病薬などの低力価薬、トリヘキシフェニジル塩酸塩(アーテン、トレミン)、ビペリデン(アキネトン)などの抗パーキンソン薬の減量、中止の時に起こりやすいといわれています。これらの薬物の処方変更の際には、離脱症状に対する注意深い観察が必要です。症状は処方変更後48時間以内に起こりやすく、2週間頃までは気をつけたほうがよいようです。
離脱症状が起こると、一見、精神症状の悪化と思える場合もありますから、その鑑別も重要です。睡眠障害が続くようなら精神症状の悪化も考えなければならないでしょう。悪性症候群も、抗パーキンソン薬、抗精神病薬の中止で起きることがあります。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年