抗精神病薬の量の増減
2012年05月22日 09:10
【Q】
抗精神病薬の量は、何を目安に加減しているのでしょうか。少ないと症状が再燃するでしょうし、多いと副作用があるのではないかと思います。
【A】
統合失調症の急性期で最も病勢が活発な時は、患者さんの年齢、体重、全身状態、薬歴を踏まえたうえで、それぞれの覚醒水準に応じた「抗幻覚妄想作用」と「鎮静作用」を目的とする投与が開始されます。「抗幻覚妄想作用」と「鎮静作用」により十分な睡眠と栄養が補給されると、その時点であらためて患者さん一人ひとりの症状や状態に応じた薬剤調整が行われます。つまり、現在使用している薬を減量、中断、もしくは新たに薬を追加し、薬剤用量を再設定します(これを、用量設定スケジュールといいます)。用量を増やす場合は、用量設定のペースが速ければ早いほど副作用が生じやすく、逆に用量を減らす場合は、悪心、こわばりなどの身体症状や倦怠感、落ち着きがなくなるなどの離脱症状が出現しやすいことを考慮する必要があります。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年