認知症の人の身体介助
2012年05月07日 09:10
【Q】
認知症のある人の身体介助をする際に気をつけることを教えてください。
【A】
身体介助を行う上で大切なのは、人格や意思を尊重する、安全を確保する、不安や苦痛を取り除きお互いに快適に行うといった基本を忘れないことです。この基本は、慣れとともに自己流の介助になってしまいがちです。この機会に自分の介助を振り返ってみましょう。
人格や意思を尊重する
認知症だから、家庭環境が複雑だから、耳が遠いから「寂しいだけ」といった先入観をもたずに、まずはじっくりと相手につきあうことが大切です。
人格の尊重と書くととても難しいことに感じますが、その人がどんな人生を歩んできて、どんなところに誰と住んで、どんな生活をしてきて、どんな性格で、何が好きで、何が嫌いかを知り、本人の望む生き方をともに考えてともに悩むことだと思います。
自分の意思をうまく伝えられない利用者もいるでしょう。その場合、何気ない会話や表情から、「こんな介助は楽そうだ。そうされたら嫌なんだ」と、本人の意思をくみとる努力をする必要があります。
出典:安西順子編『気づいていますか 認知症ケアの落とし穴』中央法規出版、2012年