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福祉マイスターへの道 毎日更新

認知症の人の「役割」

【Q】
認知症高齢者には「役割」が必要だといわれますが、どうやって役割を見つければよいのでしょうか。

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【A】
 役割のとらえ方を間違えると、認知症の人にとって落ち着かない症状が出現したとき、「とりあえず何かしてもらおう」とテーブルを拭いてもらったり、洗濯物たたみを促したり、掃除をお願いすることがあるかもしれません。しかしそれは、役割といえるのでしょうか。そうしたかかわりで落ち着きを取り戻せばよいのでしょうが、再びウロウロとしてしまうこともありがちです。
 そのような場面ではまず、利用者が落ち着かない理由に気づくことが重要です。そして、その理由を少しでも緩和することが大切です。それは、安心できる声かけから始まります。
 また、生活場面でのお手伝いに関しては、お願いすれば手伝ってくれる人もいます。「お手伝いしてくれませんか」と言えば気持ちよく手伝ってくれる人や、それを喜ぶ人もいます。しかし、「やってください」という言葉に「なぜ自分がやらなければならないの?」と不満をもつ人もいるでしょう。そういう人にとっての「やってください」は、「やらされている」と感じているのではないでしょうか。
 そこで、最初は「やらされている」と感じていても、今まで生活していた習慣に焦点を当て、「自分の食器は自分で洗う、自分の洗濯物は自分でたたむ」といった些細な役割が、いつの間にか利用者が主体となっていくこともあります。こうした小さなことは、認知症の人でも自然と習慣化していくようです。もちろんできる人が対象ですが、周囲の利用者の動作を察知して、できない人でも相乗効果でやろうとすることもあります。
 ここで注意しなければならないのは、「いつもその人がやってくれるから」「これはこの人の役割だから」と、職員が固定観念に陥ってしまうことです。私たちも、日によって何かをやりたくない時があります。それは認知症の人も同じです。自分の気持ちを表現しにくくなっているぶん、本人の求めていることや気持ちのサインを職員が読みとっていかなければなりません。本人の気持ちに応じて対応しましょう。

出典:安西順子編『気づいていますか 認知症ケアの落とし穴』中央法規出版、2012年


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