同居している家族から、家庭訪問を拒否されました……
2012年04月25日 09:10
【Q】
ある利用者の求めに応じて家庭訪問をしましたが、同居家族から「何しに来た!」と追い返されました。これ以上かかわることは、難しいと思うのですが……
【A】
利用者の要望で訪問したにもかかわらず、家族から拒否されてしまうとは、前途多難な感じがします。しかし、アウトリーチとして家庭訪問ができたことで、家族とも会え、家族アセスメントの一部ができたと思えば、一歩前進でしょう。「派手な服を着ていた」「言葉使いはキツイが、会話は理路整然としていた」「室内は片づいてきれいだった」など、家族の気性や生活を表す様々な情報が、訪問先にはあふれています。
家族の問題は、原因と結果が直線的に繋がっているというより、家族間の態度や言動が相互連鎖して問題を発生させているという“円環的な繋がり”によってアセスメントする視点が重要です。
そしてこの視点で、家庭訪問拒否という事実と、拒否した家族員の状況、訪問を依頼した家族員の考え、その他の家族員の様子などを再度見直します。すると、その家族員と家族の円環的な相互関係がより明確になり、次の支援方針が見えてくるのではないでしょうか。
相談援助の場では、相手の感情をストレートに受ける場が多くあります。ただ、それを相手の気持ちを理解する絶好の機会だと考えれば、少し落ち着いて向き合えるかもしれません。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年