利用者の退院・退所を家族が受け入れてくれないのですが……
2012年04月26日 09:10
【Q】
利用者本人は、退院・退所後に家族と一緒に生活することを望んでいますが、家族は受け入れようとしてくれません。どうしたらよいでしょうか?
【A】
まず、家族はなぜ、受け入れを拒否するのかを考えてみましょう。家族員個々の事情によるものや、家族関係によるもの、これまでの生活歴によるもの、住居や経済状況などの環境的要因など、様々なことが考えられるでしょう。それらについて、家族と面接を重ねながら、必要な情報や社会資源を紹介しつつ、退院・退所への支援を行うことが基本となります。
それゆえ、退院・退所支援は、それが決まった時から始めるのではなく、入院・入所時からかかわっておくことが望ましいでしょう。
退院・退所支援は、本人の心身状況だけでなく、家族状況のアセスメントが不可欠です。また、家族が複数いる場合には、誰がキーパーソンなのかを意識しながらかかわることも大切となります。
退院・退所の受け入れに抵抗がある家族ほど、アセスメントの際にも抵抗を持つことが多くありますので、初回面接など初期段階のうちから、家族との信頼関係は築いておきましょう。
なお、利用者の退院・退所を阻むものは、社会的な要因によることも多くあります。これらに対しては、援助者自身が、地域や行政に地域ケアの課題を提起しながら、長期的に働きかけていくことが必要です。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年