聴覚障害者(児)の支援について~3.補聴器などの障害補償機器にはどのようなものがあるか?
2012年04月11日 09:10
補聴器は、もちろん電気的に音量を拡大して聞かせる小型の装置ですが、最近のものはデジタル化による進歩が著しく、その人ごとの聞き取りにくい波長帯を選んで設定することができるようになっているほか、スピーカー機能も制度が向上し、自動的にボリュームが調整される、騒音制御などがつくなどし、音に違和感をもつことが少なくなってきました。特に、小型化の傾向が図られて、傍目にもそれとは分からない程度の形状となっているほか、色合いも形も様々なタイプが普及しています。
また、一分のものでは特定の帯域や指向性をもたせたマイク機能がついているものもあり、かなり使い勝手が向上しています。しかし、人体のもつ機能のように、特定の音だけを意のままに選択して拡声することは困難で、周囲の音源を全て取り入れてしまうなど、利用者にはまだまだ不自由なところもあります。
補聴器をその形から分類すると、耳掛け形、挿耳形、箱形の3つに分類され、操作性やその人の管理のしやすさ、使用目的、価格等によって選択されます。
補聴器以外の補償機器としては、主なものに人工内耳があります。人工内耳は頭部に埋め込むために手術が必要です。装着者は日本全国で約5000人と、数は多くありません。人工内耳を導入した場合には、それなりのリハビリテーション訓練が必要となり、また平均的な聞こえの程度は70~90㏈程度と言われます。人工内耳をつけたからといって、聴覚が正常値になるものではありません。なお、人工内耳の機器と手術は、医療保険の高度医療費が適用となります。
【参考図書】
奥野英子編著『聴覚障害児・者支援の基本と実践』(中央法規出版)平成20年3月刊、定価2800円(税別)