排泄力を鍛える座位の体操(4)身体全体を大きく動かす体操
【Q】
排泄するための筋力を維持するために効果的な運動を教えてください。
【A】
「左右への重心移動の体操」
目的
バランスの体操です。左右に身体を振りながらの座り直しや、ズボンを左右交互に下ろす動作に役立ちます。肩を水平に保ちながら、腰方形筋の収縮を意識して片側のお尻を上げるようにすると、腰方形筋の強化になります。腰方形筋の強化は、身体のバランスを保ち、体幹の伸展(身体を起こす、反らす)に役立ち、脊柱がズレて腰の痛みを発症することを予防します。
方法
(1)上半身を左に倒し、右のお尻を浮かせます
(2)右側も同様に行います
ポイント
最初は背もたれ・肘かけのある椅子・車椅子に座って始めると安心ですが、その際は背筋を伸ばして行ってください。必ず、足底が両方とも床についた状態で行います。左右に身体を倒し、次に片側のお尻に体重を乗せ、反対側のお尻を浮かせるようにします。さらに、肩を水平に保ちながらお尻を上げるようにします。
「足踏み体操」
目的
バランスの体操です。人の自然な動作はすべて体重(重心)移動で行っているので、バランス能力が低下すると、筋力があっても座位保持や立ち上がり、歩行の動作が難しくなります。できる限り膝(太もも)を高く持ち上げて行うと、腸腰筋の強化など下肢全体の能力の強化になります。さらに、持久力の向上、心肺機能の維持・改善にも役立ちます。
方法
(1)「号令~動作」が基本なので、「1(いち)」で上げて、「2(にい)」で下ろします。できる限り膝(太もも)を高く上げてゆっくり下ろします
(2)腕を振りながら足踏みをします
ポイント
最初は背もたれや肘かけのある椅子・車椅子に座って始めると安心ですが、背筋は伸ばして行います。必ず足底が床にしっかりついた状態で行ってください。持ち上げる足(膝)は、外に開かないようにできる限りまっすぐに上げるようにします。
出典:上野文規+下山名月監『介護を変えるDVDブック 新しい排泄介護の技術』中央法規出版、2009年