排泄力を鍛える座位の体操(3)下肢の体操
【Q】
排泄するための筋力を維持するために効果的な運動を教えてください。
【A】
「片あぐらのように足を組んで抱える」
目的
股・膝・足関節を柔らかく保ち、股・膝周辺の筋肉を動かして大臀筋を伸ばす体操です。関節が拘縮したり痛みがあると、座面からお尻を浮かせたり、立つという動作が困難になります。片足を膝に乗せるので、バランスの体操にもなります。
方法
(1)足首を反対側の膝に乗せます
(2)足首を下から抱えて、上に持ち上げます⇒膝に戻します
(3)足首を下から抱えて、かかとをおへそに引き寄せます⇒膝に戻します
(4)手のひらで足の指を包み込むように持ち、足首をゆっくり大きく回します
(5)反対側も同様に行います
ポイント
(1)股・膝関節の動きが悪かったり痛みのある人は、無理をしないでください。膝まで乗せられないときは、前に椅子を置いて座面に足を乗せると楽にできます
(2)足を上に持ち上げるときは、息を止めず、「ジワー」と声を出しながら行ってください
「膝を伸ばしてゆっくりと水平移動する」
目的
膝痛予防のために大切な体操です。座面からお尻を浮かせたり、立ち上がるといった動作は、体重を支えるため膝に多くの負担がかかり、膝に痛みがあると動作が困難になります。予防や改善のためには、
(1)膝をよく伸ばす
(2)股関節の内転筋肉群を強化し、O脚を防ぐ
(3)膝関節の固定筋を強化する(大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、下腿三頭筋)
ことが重要です。
方法
(1)膝を伸ばし、足先を手前に向けて、片足を水平に持ち上げます
(2)膝頭が上を向いた状態を保ち、ゆっくり外側へ水平に動かします
(3)無理のない位置まで開いたら、ゆっくり足を戻します
(4)反対側の足も同様に行います
ポイント
(1)上体を椅子の背に寄りかからせて行うと無理なく行えます
(2)バランスを崩しやすいので、椅子の左右を両手で支えて行うと安全です
(3)脚の開閉・上げ下ろしは、できる限りゆっくり行うと効果的です
(4)開閉が難しい場合は、膝を伸ばして水平に持ち上げたときに、大腿四頭筋に力を入れるように意識するだけでも効果があります
出典:上野文規+下山名月監『介護を変えるDVDブック 新しい排泄介護の技術』中央法規出版、2009年