家族同士の意見が対立していて、支援の方向性が定められません。
2012年03月23日 09:10
【Q】
利用者のサービス利用のために相談を勧めていますが、家族それぞれが異なる意見を出してきます。支援の方向性が定められません……。
【A】
このような場合には、家族のメンバーそれぞれの主張ばかりが目についてしまいますが、家族がそれぞれ意見を出してくるということは、利用者のことやサービスを利用するということに、それぞれが関心をもっているということにほかなりません。家族が関心を寄せてくれているということは、利用者本人にとっては心強いことです。まず、そのことに気づきましょう。
この状況を家族システムの観点から捉えてみると、家族のメンバーの個体性と、家族の一体性とが同時にある状況ということができます。ですから、これまでの家族の取り組み方を確認してみましょう。これまで家族が何らかの課題に直面した時にどうやって対応してきたのか、物事を決めるときには、誰が中心となって進めてきたのかを確認する必要があります。
援助者としては、自らが家族それぞれの意見を調整していかなければならないという気持ちになるでしょう。しかし、必ずしも援助者が介入するという形をとらなくても、その家族なりのやり方を確認できれば、自分たちのやり方で解決策をとっていくということもあるでしょう。援助者としては、家族の取り組みのあり方に基づいた支援を考えていくことが大切です。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年