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非定型抗精神病薬と従来の薬との違い

【Q】
 非定型抗精神病薬と今までの薬との違いを教えてください。

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【A】
 抗精神病薬は定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬に大きく分けられます。従来の薬を定型抗精神病薬(第一世代抗精神病薬)といいます。
 抗精神病薬は脳の神経細胞に作用します。脳の情報伝達は神経細胞の同士が神経伝達物質をやり取りすることで行われています。神経伝達物質には多くの種類がありますが、統合失調症と深くかかわりがあるのが「ドパミン」と呼ばれる神経伝達物質です。抗精神病薬の作用機序は、脳内のドパミン神経の調整であると考えられています。脳内のドパミン神経系は四つ(中脳-辺縁系、中脳-皮質系、漏斗-下垂体系、黒質-線条体系)に分けられます。主に中脳-辺縁系のドパミンが過剰になると、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、精神運動興奮など)が起こり、逆に中脳-皮質系のドパミンが不足すると陰性症状(意欲低下、感情鈍麻、無為自閉など)や認知機能障害が起こると考えられています。
 定型抗精神病薬は中脳-辺縁系における過剰になった情報の受け皿(受容体)であるドパミンD2受容体を遮断することで陽性症状の軽減をします。しかし、同時に中脳-辺縁系だけでなく、他のドパミン神経系のドパミンD2受容体も遮断してしまうため、錐体外路症状、高プロラクチン血症などの副作用の問題点もありました。また、陰性症状や認知機能障害に対しては効果がありませんでした。そこで、これらの欠点を改良して開発された薬が非定型抗精神病薬です。
 定型抗精神病薬はドパミンD2受容体遮断作用が中心でしたが、非定型抗精神病薬はドパミンD2受容体遮断作用だけでなく、神経伝達物質の一つであるセロトニン(5-HT)の受容体である5-HT2A受容体の遮断作用も有しています。そして、この受容体が遮断されると、副作用を引き起こす部位でのドパミンD2受容体遮断に対して影響が少なくなるため、定型抗精神病薬と比べて錐体外路症状などの副作用が出にくくなります。また、陰性症状や認知機能障害の一部へも好影響を及ぼすといわれています。

出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年


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