利用者が特別対応を求めてくるのですが……
2012年02月17日 09:10
【Q】
ある利用者が緊急の状況だったときに特別の対応をしたのですが、それ以来、通常でも特別な対応を求めてきて対応しきれません。どうすればよいでしょう?
【A】
緊急時の対応を検討する場合、これまでの事例からどのようなときに緊急対応を行ったのか、どのようなときに緊急対応を行うべきかなどを事前にまとめておくと、いざというときにも落ち着いて判断ができるのではないでしょうか。そして、それを利用者とも共有することで、緊急時の安心感が高まり、不要なトラブルを防ぐことにもつながると思います。また、援助者の所属機関の目的と内容に合わせ、援助者の役割や援助可能な範囲についてもあらかじめ説明し、同意をとっておくことも大切です。
このように、利用者が不安に思うことについて事前にその対応方法を説明し、緊急時対策への安心感が増すように質問にも答え、一方で対応の限界についても伝え、利用者の同意を得る過程は大切です。その過程は、援助関係を形成するプロセスそのものであり、利用者を個別化し、受容し、尊重する過程でもあります。利用者の不安感や不満が強いときや理解力の低下や自己の考えに固執するときなど、一回、説明と同意(インフォームドコンセント)をしても揺れ戻しがあったり、納得しきれないときなどがあるかもしれません。しかし、それは対人援助の場の利用者には珍しいことではないので、そのつど落ち着いて説明し、援助者が慌てたり怒ったりしないことが大切です。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年