「利用者本位」とは、どこまで支援すること?
2012年02月15日 09:05
【Q】
いつも利用者から「頼りにしている」と言われるので、親身になって対応してきましたが、だんだん自分のできる範囲を越えてきているように思います。いったい、どこまで支援すればよいのでしょう?
【A】
信頼関係を築いた利用者には、できるだけの対応をしてあげたいと思いますし、それが利用者本人から直接出た願いなら、可能な限り叶えてあげたいと思うのが、多くの援助者の願いだと思います。
しかし、利用者の訴えがイコールそのまま利用者のニーズであると早合点してはいけません。利用者の心身状況や、家族や近隣や交友関係やサービスの利用状況をアセスメントすると、本人の訴えが必ずしも本来の利用者ニーズと同じでないことがあります。利用者の訴えに惑わされて、専門的な視点での利用者ニーズを見失わないようにしてください。
利用者の主観的ニーズと客観的ニーズ、見えるニーズと見えないニーズをうまく照らし合わせることで、そして、所属機関の目的や自分の役割を比較することで、支援すべきことの優先順位が見えてきます。
利用者の訴えを傾聴するのは大切なことですが、それだけに振り回されずに、専門職としてのアセスメント能力も磨いていくことが、利用者本位の支援につながるのではないでしょうか。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年