パーキンソン病の人への食事介助
【Q】
パーキンソン病の人への食事介助で気をつけることを教えてください。
【A】
パーキンソン病の人は、日常の動作や歩行に困難を生じます。特徴的な症状として、じっとしていても、自分の意思とは関係なく手足が震えるようになります。歩く動作が上手くできずに足を引きずったり、歩くリズムが保てなく、走るような、つんのめるようになったりして転びやすくなる歩行障害がみられます。加えて、動作が遅くなり筋肉がこわばり、関節の曲げ伸ばしがスムーズにいかなく筋固縮がみられるようにもなります。
そのほか、脳から腸にいたる自律神経が影響を受けることによる便秘、自律神経が支配している排尿や発汗、血液にも影響を及ぼして、尿が出にくい、尿失禁、汗が出にくい、血圧が下がるといった症状が現われます。そのために、よく観察していると、まばたきの回数が少なくなったり、唾液を飲む回数が減り、よだれが多くなったりします。
食事介助について、日によって、あるいは1日のうちでも、時間によってはできるときもあるので、そのときの身のこなしや訴えをよく聞いて、できるだけ自分でできることはしていただき、本人が自信をもって行動できるように介助します。
動きが鈍いときは、「ここはお手伝いします」「ここはしてみてください」と、本人が納得してできるようにします。どうすればよいのいか戸惑ったり、しっかりしようと思っているので、まわりの人に自分の動きの悪さを気づかれたくないという気持ちをもっています。ですから、なるべく自尊心を傷つけない配慮が大切です。そのためにも、できるだけ介護職が隣に座り、すぐに介助ができる状態にしましょう。
食器や食具については、あまり軽くても手になじまないので、大きさや高さは手の動きに合わせるようにします。コップなどは底が浅いものがよいでしょう。
食前に行う口や全身の体操は、毎日行うと血行や代謝がよくなります。病気が進行するとものを飲み込む筋肉もこわばり、嚥下反射が起こりにくくなるので、食事前には必ず行います。飲み込むときは「『今から飲み込もう』と意識して自分に言い聞かせてください』と声をかけます。さらに、鏡を見て笑うことで表情筋を鍛えましょう。
出典:介護専門職の総合情報誌『おはよう21』2009年4月号増刊、中央法規出版