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福祉マイスターへの道 毎日更新

多剤の効果

【Q】
多くの薬を服用することで得られるメリットとは何ですか?

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【A】
 たしかに、高血圧と高脂血症、糖尿病の薬を併用することで効果がある場合もあり、エビデンス(根拠)があるといえます。しかし、高齢者の多剤に関してはエビデンスがあるのでしょうか。
 高齢者の薬物の多剤併用に関して効果があったという論文について調べると、試みはほとんどありませんでした。現在のエビデンスは、大多数の対象年齢が中年層で、高齢者を対象としたデータは非常に少ないのです。つまり、多くの疾患をもつ高齢者における多剤の効果は保障されていません。
 エビデンスに基づく医療が叫ばれ、EBM(Evidence Based Medicine)という言葉が一般的になりましたが、高齢者医療でのEBMはどうでしょうか。皮肉を言えば、エビデンスではなく、エクスピアランス(経験)を基盤にしているのではないでしょうか。科学的根拠というよりも、医師個人の経験に基づいて処方されているのではないでしょうか。今後は、高齢者医療にエビデンスを導入し、正しい薬物療法を考えていかなければいけないでしょう。
 明らかな効果が確立されていないにもかかわらず、多数の施設で投与されている薬物もあります。たとえば認知症のBPSDに対する抗精神病薬の使用です。

出典:介護専門職の総合情報誌『おはよう21』2008年3月号、中央法規出版


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