精神科薬のメジャーとマイナー
2012年02月07日 09:10
【Q】
精神科で使う薬をメジャートランキライザーとかマイナートランキライザーと呼ぶことがありますが、何を意味しているのでしょうか?
【A】
1952年、クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)の抗精神病作用が発見されてから半世紀、現在までにさまざまな薬が開発され、向精神薬の呼び方にも変遷がありました。向精神薬とは、主に中枢神経系に作用して精神活動や行動に変化をもたらす薬のことです。そのなかでメジャートランキライザー(強力精神安定剤)は抗精神病薬を、マイナートランキライザー(緩和精神安定剤)は抗不安薬を指す言葉として従来使われてきました。しかしこれらの違いは、神経細胞の違うところに作用する、まったく薬理作用の異なるグループで、強力・緩和は強度差ではありません。患者さんのなかには、メジャーかマイナーかを、作用の強弱と間違えて認識している場合も見受けられるので、正しい理解が必要です。向精神薬は現在では、抗精神病薬、抗うつ病、気分安定薬(抗躁薬)、抗不安薬、睡眠薬、抗パーキンソン薬、抗てんかん薬、抗酒薬、脳機能改善薬、認知症治療薬などに分類するのが一般的です。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年