利用者の対応にのめりこみ、自分自身が疲れ切ってしまいます……
2012年01月11日 09:10
【Q】
利用者の複雑な事情や大変な思いに触れると、何とかしなくてはと思うあまり、のめり込んでしまいます。そのため、自分自身が疲れ切ってしまうのですが、どうすればよいでしょうか?
【A】
「のめり込む」だけの情熱をもてるということは、とても素晴らしいことですし、援助者として実力をつけ、熟成していくためには、時にはのめり込むことも必要です。しかし、のめり込みすぎてバーンアウトして(燃え尽きて)しまっては援助関係は継続できず、本末転倒になってしまいます。
のめり込めるということは貴重な資質なのですが、援助者として次に目指すのは、のめり込んだ状態からきちんと自力で「出てくる」ということです。「出てくる」ということは、利用者を見捨てるとか手を抜くということではありません。援助者がのめり込み、疲れ切ってしまうまでサポートをしなくても、その利用者がきちんと生活できるシステムを作り上げるということです。つまり「自分が何とかする」よりも、「利用者自身をエンパワメントする」「システムによって支える」ということです。
バーンアウトせずに仕事を続けていくためには、自分自身のコンディションを把握する術を身につけることが重要です。下り坂だなと思ったら、早めに休養をとったり、意識して発散するなど、自分の気持ちとうまく「おつき合い」できるようになると楽になります。利用者と向き合い続けることは重要ですが、休みの日にはきっちりと充電して、リフレッシュした状態で仕事に臨める自分をつくることも重要な資質だと思います。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年