デポ剤の効果
2012年01月06日 09:10
【Q】
デポ剤はどのような患者さんに使われるのでしょうか?
【A】
デポ剤による治療の対象となる主な疾患は、統合失調症、統合失調感情障害、躁病、中毒性精神病です。ただし、それらの疾患の患者さんすべてが適応となるわけではありません。
統合失調症では、再発歴があり、治療継続の意思確認ができていて、経口精神病薬による治療歴があることの三つの要件が揃っている場合に適応となります。初回のエピソードでは適応とならないというのが原則です。躁病では、重症で入院治療が前提となる場合に適応となります。中毒性精神病では、幻覚妄想状態が改善せず継続している覚醒剤中毒後遺精神障害とアルコール依存症が適応とされています。
デポ剤の添付文書では、適応となる病態について「抗精神病薬の長期投与が必要な慢性精神病者に使用」「過去の治療で抗精神病薬の投与により症状が安定した患者に投与」となっています。急性精神病状態での使用は好ましくないし、過去に抗精神病薬への治療反応性が確認されている必要があることを適応の要件としてあげているのです、エビデンスを示せるほどのデータはないようですが、経験的には、経口薬には反応せず治療抵抗性とみなされていた患者さんでも、デポ剤での治療には反応して、病状が改善する場合があるといわれています。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年