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福祉マイスターへの道 毎日更新

認知症の人とのかかわり方 銀行編

【Q】
 認知症の人が地域で暮らし続けるため、銀行の行員を対象に、認知症らしき症状のある高齢者が来店した場合のかかわり方について指導する機会があります。その場合のポイントについて教えてください。

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【A】
 認知症の人に限らず、ATMの操作が苦手な高齢者は多く、金融機関の窓口で尋ねることも多いでしょう。
 その場合、たとえば通帳を指差すなど、身振り手振りを交えながら、ゆっくりとした口調で説明します。その際、話す内容を一つひとつ分けて説明しましょう。さらに、「~ではなく~です」といった、本人の言うことを否定した言い方や言葉は避け、「~のようですね」など、本人と一緒に確認を進めることができるように配慮します。たとえば次のような説明になります。
窓口 「(通帳を高齢者に見せながら)どうやらAさんの年金は偶数月に振り込まれるようになっています。こちらをご覧いただけますか。今まで2月、4月、6月と2か月おきに振り込まれていますね」
Aさん 「なるほどね。ところで今日は何月だい?」
窓口 「7月です。7月ですので、次にAさんの通帳に年金が振り込まれるのは、来月の8月15日になりますね。ちょうど終戦記念日ですね」
 説明の際、メモ用紙に支給日などを記入しながら説明するのもよいでしょう。ていねいかつ少しざっくばらんに振る舞うことも大切です。
窓口 「Aさんが次に年金を受け取られる日にちも書いておきますね。私の名前も書いておきますので、また何か心配なことがありましたら、いつでもお越しください。メモした紙は、ここ(通帳)に挟んでおきますね」
Aさん 「(通帳を受け取り、メモ用紙をまじまじと見ながら)いやぁー、助かったよ! いやぁ~、ありがたい」
 少し芝居がかっていますが、大切なのは些細な振る舞いや言葉、気配り、心配りです。

 このほかにも、「暗証番号を思い出せない」「登録した印鑑と違う印鑑を持ってきた」「何度もキャッシュカードを紛失する」など、金融機関ならではのトラブルがあるでしょう。
 たとえば、登録した印鑑と違う印鑑を持って来て「これしか印鑑は持っていない。これに違いない」と強く主張する人は、自分の過ちすら記憶から抜け落ちている可能性があります。
 金融機関としては、認知症であろうがなかろうが、すべてお客さまとして応じるので、認知症だからといって特別な扱いはしません。しかし、事前に認知症の特徴を理解していることで、認知症かもしれないと予測でき、通常の対応よりもゆっくりと話を聴く姿勢で、相手の苦痛(不自由)を認めて「理解者」であることを表現することはできます。そうすることで、相手が「話を聴いてもらえている」という安心感をもつことができれば、新たな解決策を見出すこともできます。

出典:NPO法人認知症フレンドシップクラブ『認知症の人のサポートブック』中央法規出版、2011年


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