中途障害を負った利用者がなかなか現実を受けとめようとしません……
2011年12月06日 09:05
【Q】
病気によって身体障害を負うことになってしまった利用者が、「自分は元どおりよくなる」と信じていて、これからの生活のことについて話し合うことができません。どうしたらよいでしょうか?
【A】
まずは、そのような障害を負うことになってしまった利用者の気持ちを理解する必要があります。障害を負ってしまったことに大変なショックを受けていたり、混乱している人、それまでの行動に後悔の念を抱いている人もいるでしょう。また、治療やリハビリテーションによって回復を期待し、信じている人もいるでしょう。今までに経験したことのない状況ですから、今後のことなど思いつかない、今までどおりの生活をするしか思いつかないという状態と推測することができます。
一方で、「元どおりよくなると信じていること」を利用者のストレングスとしてとらえるならば、その人は回復を信じるからこそ、治療やリハビリテーションに積極的に取り組むという利点もあります。そう考えると、利用者の「よくなりたい」という気持ちを受けとめつつ、回復までにはしばらく時間がかかるが、その間の生活はどのようにしたらよいかなど、少しずつ現実のことについて検討していく体制をとることも重要になってきます。その際、医師や理学療法士、作業療法士など、他のスタッフとの協力も欠かせません。
また、同じような障害を抱えている仲間と交流を図ることによって、自分の状況や現実を認識してもらうという支援も有効な方法の一つです。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年