デポ剤
2011年12月02日 09:10
【Q】
デポ剤とは何でしょうか?
【A】
デポ剤とは持効性抗精神病薬のことです。1回の投与で長時間の薬効が期待できるのでこう呼ばれています。現在、わが国で用いられているデポ剤は、約2~4週間に1度、筋肉内注射を行うことで一定の薬効が維持できるとされています。
デポ剤は、抗精神病薬を脂肪酸でエステル化し、これを油性溶剤に溶かしたものです。デポ剤は、油性のため約10℃以下の温度では油の成分が固体化して白くなります。成分の結晶が析出して混濁することもあります。体温程度に暖めて溶解したことを確かめて使用します。
デポ剤は、筋肉内に投与されると、そこから徐々に血中に移行し、末梢組織で分解されハロペリドールやフルフェナジンとなり、薬効をもちます。筋肉内注射されるデポ剤そのものは、薬剤としての作用はなく、分解されて初めて目的とする抗精神病作用をもつわけです。デポ剤という呼称は、薬剤が数週間筋肉内に蓄えられる様子が、バスデポ(バスの車庫)に待機しているのと似ていることに由来するようです。なお、抗精神病薬以外にも、卵胞ホルモン剤、副腎皮質ホルモン製剤でデポ剤が開発されています。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年