SSRI、SNRIの使用基準
2011年11月30日 09:10
【Q】
SSRI、SNRIを使用する患者さんと、使用しない患者さんの違いは何でしょうか また、うつ病治療薬としてのファーストチョイスはあるのでしょうか?
【A】
抗うつ薬は大きく2つに分類されます。従来薬と新しいタイプの薬です。抗うつ薬は神経伝達物質のノルアドレナリンやセロトニンに作用して抗うつ効果を発揮します。従来薬はうつに関係ない他の伝達にも影響してしまい、これが副作用の出やすさにかかわっています。SSRI、SNRIは、セロトニンやノルアドレナリンに関連した受容体により親和性(くっつきやすさ)が高く、その他の伝達に関連した受容体には親和性が低いという特性をもっており、従来薬と比較してこの特性が副作用を大きく軽減しているといえます。SSRI、SNRIは、従来薬とほぼ同等の効果が得られると考えられ、副作用が少ないということから、世界的に多くのガイドライン(治療指針)で、SSRI、SNRIをうつ病治療の第一選択薬としています。このSSRIやSNRIがまったく効果を発揮しない、もしくは効果がひくい患者には、NaSSA(特異的セロトニン作動性薬)や従来薬の使用が検討されます。NaSSAは、2009年にわが国でも承認され販売が開始された抗うつ薬ですが、作用機序が今までの抗うつ薬とはまったく異なる薬で、すでに海外ではSSRIやSNRIと同様に、よく使われる薬となっています。今後、わが国でも第一選択薬となる可能性もあります。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年