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福祉の哲学を考える~2.日本人の福祉の捉え方は、戦後どう変わっていったか?

 福祉は行政上の施策として存在するものであり、法に従って厳粛に執行すればよい、と捉えてしまうと、福祉の意味をなさないことも生じてきます。行政関係者が関与しているにも関わらず、自殺に至った例なども多く見られます。福祉は、専門家であるなしに関わらず、個々の支援者自身がしっかりとした考え方をもって臨むことが大切なのでしょう。そこに哲学が問われます。
 そこで今週は、阿部志郎著『社会福祉の思想と実践』(中央法規出版)をもとに、福祉について考え方の基点をいくつかみてみたいと思います。

【Q】
 日本人の福祉の捉え方は、戦後どう変わっていったか?

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【A】
 日本は敗戦によって、米国の法体系の影響を強く受けました。憲法にはその理念が色濃く反映されていますが、戦後の社会の安定が見えてくると、細部の法制度は欧州の法制度の考え方を多く採り入れるように変わっていきます。
 憲法は米国の理念のもとに自助の考え方がよく出ています(89条)。しかし、その後の国策の推移をみていくと、ベバリッジ報告をもとに「社会保障は社会の制度であって、国が責任を持たなければならない」と、「日本では国家責任という言葉で言われました。福祉は国家責任だと」なっていきます。実は、ベバリッジ報告では続いて、「国民の努力と協力なしに社会保障は完成できない」としているのですが、「日本ではなぜか、最初の国家責任だけを強調してきた。すべて国家がやる。行政の責任だと言って責任を追及しました。後段にある『国民の努力と協力』は、意識的にか無意識的にか外しました。この国民の努力と協力によるシステムに変えようとしたのが社会福祉基礎構造改革です」と阿部氏は述べています。

出典:阿部志郎著『社会福祉の思想と実践』中央法規出版


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