利用者が入院を拒んでいます。
2011年11月01日 09:10
【Q】
入院治療が必要なのに「病院はイヤだ」という利用者がいます。援助する必要があるのですが、どうしたらよいでしょうか?
【A】
援助をしようと思っているのに、利用者から拒まれてしまうと、それ以上手を出すことができずに困ってしまいますよね。援助者の判断が的確であるとしても、まずは利用者の援助を受けたくないという気持ちを受けとめる必要があります。「たしかに病院生活は窮屈ですよね」とか「自宅で自由に暮らしたいですよね」などといった言葉かけによって、利用者の気持ちを理解しようとする姿勢から、利用者との話が始められることもあります。
そして、利用者がなぜ援助を拒んでいるのかを考えてみる必要があります。病院という場所に嫌な思いをもっているのかもしれませんし、過去に自分や身内の病気に直面し、あんな思いはもう二度としたくないと思ったことがあるのかもしれません。入院にあたっては、利用者がそのような不安感をもちやすいということを理解して、「入院することに何か心配があるのですか?」などと、その人の気持ちを理解するための問いかけをしていく必要があるでしょう。
「病院はイヤだ」と一人で頑張るという気概を見せている利用者でも、いざとなると心細くなって誰かを頼りたいということもあります。そのような時に援助の手を伸ばせるように見守っておく必要があります。そのような見守りや緊急対応の体制づくりも大事な援助なのです。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年