介護サービスの契約書
2011年11月16日 09:10
【Q】
利用者に契約書や重要事項説明書について説明する際、省略して説明してもよいのでしょうか。
【A】
介護サービスの内容や、契約を解約しようとする場合の条件などは、利用者にとってきわめて重要なものです。そもそも厚生労働省令において、重要事項説明書を作成し、利用者、家族に説明し、その同意を得なければならないとしているのはそのためです。したがって、文章が長いからと言って省略してもよいということにはなりませんし、また、わかりづらい部分があるため省略してもよいということにもなりません。
文章が長く、わかりづらいからこそ、事業者に対して懇切ていねいにわかりやすい説明を行わせようとしているのです。医療と同様、介護の分野でも「インフォームド・コンセント」の考え方は重要です。
事業者のなかには、法的知識のまったくない職員に事前のレクチャーや研修などをせずに、いきなり利用者などへの説明を行わせているところもあります。そのような場合、担当者が事業者の意向を踏まえて契約書の文言を事業者に有利に勝手に解釈して説明するという事例も散見されます。
契約書や重要事項説明書については、必要な法律知識を有した職員が、適切かつわかりやすい言葉で、十分な時間をとって利用者や家族に説明をする必要があります。それが結果的に、利用者や家族とのトラブルを未然に防ぐことにもなります。
出典:吉岡讓治『職員と利用者を守る 介護現場の法律講座』中央法規出版、2010年